中身の詳細は実際に本を手にとっていただくとして、私が感じたのは、「堀江さんは当時ヒーローだったし、そのヒーローの元に集った仲間たちこそがライブドアのDNAそのものだったんだろうなあ」ということです。

ライブドア事件のことも触れられてますが、私は当事者ではないので、そこはよくわかりません。

それでも「あの時のライブドアがそのままの勢いで前人未到の地に到達していたら」いったいどうなっていたんだろう、と思います。当時ヤフージャパンを追いつけ追い越せ、というチャレンジ誰もできてなかったんですよね。もしかして、追いついてしまうんではないか、なんかすごいことが起こるのではないか、というワクワク感というのはものすごかったと思うのです。究極のチャレンジャーだったと思うのです、当時のライブドアさんは。

この本には、著者の小林さんのバックグランドも出てくるのですが、小林さんは私より３歳上なんですね。

そして小さいころにパソコンを買ってもらって、BASICでプログラミングをされてます。その時の世界が開ける感、なんでもできる感覚を書かれてます。

これ、僕もおんなじ経験をしているんですよね。私はPC-9801F2でのBASICプログラミングからスタートしてます。これが無かったら今頃インターネットの会社の社長なんてやってないと思います。

と考えると、もしかするとライブドアというのは、パソコン少年世代、もしくはハードウェア世代（インターネット世代ではなく）の人たちが作り上げた会社なのかもしれません。

私は残念ながらライブドアに勤務したことがないのでわかりませんが、実はライブドアを受けてみようか、と思ったこともあります。そのくらいあの勢いに「巻き込まれてみたい感覚」というのがありました。

私も、うまくいったベンチャー、うまくいかなかったベンチャー、色々な体験をしました。それでも、自分のかつて在籍した企業には、「愛憎」を持っています。なんでだー！という気持ちと、あの時感じた勢いと青春っぽさによる気持ちの高揚、というのが混ざっています。

この本にはそんな小林さんのどっちかというとライブドアに対する「愛」の部分多めに感じました。ライブドア事件のことだけではなく、ライブドアの生み出していったサービスに多くの紙面が割かれていることがそのあらわれなのかなと。

ここからは書評ではありません。

また今、日本は空前のベンチャーブームになっています。第何次のベンチャーブームなのかはわかりませんが、はっきり潮目が変わった感はあります。

多くの資金が流入し、ネットビジネスの立ち上げ速度も、2000年前半当時とは比べ物にならないほどです。AWSなんてありませんでしたし、アプリストアといった配布／課金のプラットフォームもありませんでした。すごい事になったもんです。

いったい、何が前回のベンチャーブームと違うのだろうか。資金、技術の進歩や、スピードは明らかに違う。でも、なんだか高揚感や狂った感（いい意味で、ですよ）が、何か変わった気もします。無くなった、ということではありません。自分ではこれだ、と特定できていないのですが、変わった。

これはなんだか完全に仮説になってしまうのですが、そして15年もネットベンチャーやっててベテランぽくなっってしまっているので思うのかもしれませんが、

ちょっと前のベンチャーって、何か大きなものに挑み、変革し、という会社が多かった気がするんですよね。経営者の怒りとか規制ぶっこわすぞ！みたいなものがエネルギーになってたんじゃないかな。孫さんのADSLでNTTさんとドンパチやるところなんて、その典型かな。

これはどっちが良い悪いとか、そういう話をしたいのではなく、

現代のベンチャーは、いきなりグローバルにドカンといくぜ！とか、あっという間に何百万ダウンロード！で市場とるぞー！という感じが多い。（もちろんそうじゃないベンチャーも多数ありますが）そこには怒りとか規制ぶっこわすぞ系が、かつてのベンチャーブームよりは少ないんじゃないかなぁ。悪いってことではないんですよ。なんかうまく言えないなぁ。

僕だけでしょうか、そんなことを感じるのは。

Fringe81はですね、チャレンジャー型ベンチャーでいきたいです。「Googleなんぼのもんじゃい！」と言いたい。言いたくてたまらない。（えーと一応誤解をまねくといけませんので、Googleさんに他意があるわけではありません例です例）

私はオーナー社長２年目なので、まだ私は高揚感や狂った感を持ててないのかもしれません。まだどこかアクセル踏みながらブレーキ踏んじゃっているんじゃないか。と若干反省しました。会社はすごい勢いで成長できていると思いますが、まだまだですね。

Fringe81を輝かせて、後世にやばい会社であった、というようになるまで、がんばろうと、改めてなんかこの本を読んで思いました。

というわけで、小林さん、改めて出版おめでとうございます。面白かったです。