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ベンチャーの企業文化とは何だろうな


ちょっと今日は企業文化について書こうと思います。これはとりとめのないつぶやきです。どなたかの参考になればいいと思いますが、ポエムのようなものだと思ってください。
やれ企業文化が大切だ、やれ採用にはカルチャーフィットが重要だ、と良く聞きますね。確かに企業文化って大切だと思うのですが、そもそも企業文化って、「なんかうまくは表せないけど、ふわっとした価値観」って感じがしませんか。なんかこう、言葉に表しにくいんですよね。歴史の積み重ねによって「俺達こういうやつだよね」というなんとなくのコンセンサスを企業文化とも言うのでしょうか。
最近よく、「Fringe81は強烈な企業文化がありますよね」と言われるんです。確かに、そう思います。そしてそれをとても大切にしています。もうなんだかんだ10年の歴史があります。昔から強かったわけでは無かったんですよ。企業文化。10年たってみたら、世にも不思議な企業文化ができあがっていましたし、ここ最近特に変わってきました。
はじめからうまくいっていたわけではなく、それなりに苦労してきたので、そんなつたない社長ではありますが、どのように企業文化をつくっていったのか、また課題感などを書こうと思います。

■企業文化は社長が創るものなのか

企業文化は社長(または創業者)が創るものなのか。これはYesでもあり、Noでもあります。社長のこだわりは、その企業の価値観に直結します。これは間違い無いです。誰しも、「俺はこんな理想の会社を作りたいんだ」って思いではじめたのは確かでしょうから。でも、イケてない会社にしたい経営者っていないですよね。
なので企業文化の最初の発端とは、「こういう会社はカッコイイ/カッコ悪い」および、「こういう行動はカッコイイ/カッコ悪い」という、経営者のごく個人的な好み、や価値観からスタートするとは思います。

■発端は個人的だが文化は集団的

しかしながら、会社のビジョンや戦略は経営者が創れますが、文化は経営者のみでは創れないです。カッコイイ、カッコ悪い、という個人的な好みを、言い続け、「あたかもそれが行動指針として当たり前」というところまで行くためには、経営者だけじゃダメですよねそりゃ。集団で経済活動をしているわけですから、何度も言う、自ら実践する、といったことが必要ですよね。
ところがですね、難しいんですこれが。

■会社の事業内容によって文化って違ってしまうのか

まず、会社のビジョンや戦略は、変わります。10年もやっていると、もちろん競争環境や技術革新により、事業内容なんて変わっちゃいます。10年全く同じ事業で新規事業も無くできている会社は、それは社長の選択眼が超イケてるんだと思います。
例えばFringe81では、最初はRSS広告の専門事業者でスタートし、3年前はアドテクベンダー専業でした。ところが、最近では広告代理業を組み合わせて成長してきました。広告主側にたった事業をやっていました。と思ったら、この1年は、スマートフォンの新興メディアさんと一緒に商品開発をしたりと、今度はメディアさんと広告主さんを橋渡しする事業をやっているのです。
事業領域が変われば、必要とされる社員のスキルは変わります。例えば、広告代理業では、お客様の立場にたち、「いいものをベストチョイスで持ってくる」スキルが必要ですよね。アドネットワークの事業では、「自分たちで最高の製品を創る」というスキルが必要です。結構これ違います。
事業領域によって、文化は変わるのでしょうか。10年前から私は、「インターネットが大好きで、テクノロジーが大好きで、最先端の事業領域に果敢にチャレンジする会社がいい」というのは全く変わっていません。人の価値観はそう変わらないものです。では集団で形成する文化はどうでしょうか?私は、「文化もまたそう変わらないけれども、熟成期間によってだんだん変わってくる」というものだと思います。

■企業文化は簡単に壊れやすいが、ピンチの時に企業文化は進化する

企業文化というのは、簡単に壊れます。私は過去何度も壊れるのを見てきました。結局、「会社がうまくいってない、成長してないのに、企業文化もへったくれもあるか」ってことなんだと思います。これはひとえに経営者の能力の問題なんだと思います。誰の責任でもありません。
いくら優秀な経営陣やメンバーがいようと、うまくいかない時はあります。
うまくいかない時、そこで踏ん張れるかどうかで企業文化が熟成し、進化するものだと思います。Fringe81でも何度も新規事業が思ったよりうまくいかないなぁって時がありました。でもなんだかんだ、手を変え品を変え成長してきたんです。その時はうまくいかないなぁって事業も、気づいたら最後に残っていたのは我々だけになって、ものすごい利益を産んだりとか、それで結局会社が生き残ったりするんです。

■事業を作りたいのか、組織を作りたいのか

最近Fringe81の企業文化は特に変化してきた、と書きました。そう思います。それはあるきっかけがあったんです。私は元々、事業を作りたい経営者でした。先ほど申し上げたように、「インターネットが大好きで、テクノロジーが大好きで、最先端の事業領域に果敢にチャレンジする会社がいい」と元々思っていましたし、自分でも事業創るのは比較的得意な方だとは思います。特にスタートアップですと、経営者の得意領域の事業をやるのが普通ですよね。
ただ私はあるとき気づいてしまったんです。
デレク・シヴァーズのTEDのスピーチを見て。

この中で、最初にリーダーとして、裸で踊りだす男が出てきますよね。ムーブメントを起こすには、次に踊るフォロワーが重要である、としています。
私はこのビデオを見てですね、ガツーンと殴られたくらい衝撃を受けたんですね。気づいちゃったんですよ。「私は、自ら率先して裸で踊りだすリーダーでありたいし、かつ、裸で踊ろうとする社員をおもいっきり応援し、サポートし、実現させるような組織を創りたいんだ」と。事業を創りたいんじゃなかったんです。お恥ずかしながら。そういう組織を創りたかったんですね。
この時以来、会社の優先順位を率先して変えてきました。こないだ、ドローンを買いました。会社の中で飛ばしだすわけですよ。就業時間中に。社員にとってはいい迷惑だと思いますが、それもですね、裸で踊るには実践あるのみと思っていますし、それが企業文化を創ることでもあると信じているからです。社員がオライリー本を買いたいと言えば、10冊じゃなくて50冊買えばいいんです。買いたい言った瞬間にそれに答えるスピードが超大事なんです。
どんな小さなことでも、事業でも、裸で最初に踊りだすやつには最大級に後押しして答える、それが当たり前の組織を私は創りたいんです。それがこの会社の企業文化の根幹なんではないかと思っています。
このあいだ、新卒3年目の社員とカメラ撮影旅行に行きました。その時に、「ユヅルさん、行動指針(弊社では社魂、と呼んでいます)を新しくしませんか?だいぶ事業も変わってきましたよね?」と。
その時に私が言ったのは「よく言った!やろうやろう」と後押ししました。
ところがその社員、言ったはいいけど、2週間くらい行動指針変更をやらなかったんですね。その時に私がやった行動は、「すぐやろう、今やろう、やるやつがカッコイイんだ、そういう会社でしょ!」と。これは経営者しかできない行動です。彼にとっては業務外の仕事ですからね。
でも、会社にとってとても大事な行動指針の変更を、いとも簡単に、即効でやる、これがカッコイイという価値観なんです。それを自らやろうといった長谷川くん、君がカッコイイんです。課題感を感じたんですよね。オライリー本を買いたいと言った三ツ橋くん、君がカッコイイんです。技術的な課題感を感じたんですよね。発言には責任が伴いますけれども、そういうの、いいじゃないですか。
でも、カッコイイから、文化形成のために他の何よりも優先順位を高くできるのは、後押しできるのは経営者しかいないんですよね。
新しい行動指針の作成ですが、このプロセスがかなり凄まじくて、(全員投稿、全員投票スタイルです)
月曜日に全体会議で周知⇒GoogleDocsで案だし⇒3日で120案くらい集まる⇒3日で投票、次週で決定
という感じで、全部で10日くらいで新しい行動指針は決まりました。これぞ私の理想とする会社なのです。行動指針なんて、経営者が密室で決めなくていいじゃないですか。変なプロセスを多くして、スピードがそがれるなんてクソじゃないですか。普段働いていて、何が価値観として心奮い立つのか、社員はおそらくわかってるはずなんです。やろうと言ったことに、全員が裸になって踊りまくる、それがカッコイイというスタイル。これが企業文化なんだなーと。
できあがった社魂はこれです。

私の行動指針案は、入ってました。よかったw 4つめの「まずやるやつがカッコイイ。やんないやつはカッコ悪い」です。それ以外もとっても素敵。いいじゃん。
ここから私が学んだのは、「価値観の提示と実践、その後押しのサイクルを何度も回しまくる」が何より企業文化を創りあげることなんではないかな、と思ったのです。
もちろん、会社によっても違うと思います。ただ最近のFringe81のいい感じな感じを見るに、このサイクルを回しまくっているからこそ、「これぞ俺たちである」という文化が出来上がってきたからではないかなぁ、なんて思ってます。