CEO Blog

事業主導ではなく、ビジョン/カルチャー主導のベンチャーはあり得るか


最近は会社の未来を考えるようにしています。
日本で大きくなったメガベンチャーの経営陣の方と、お話していると、「ゆづる君はいったい会社をどうしていきたいの?特定事業に特化した会社なの?それともコングロマリットなの?」といったグッとくる質問をいただくんですね。さて、どうしていくか。
また、最近では、「アドテクのFringe81」と社外でご紹介いただいたりするんですが、そうすると、自分の中で思い描いている未来のFringe81と、今の対外的な印象のFringe81とは、大きくギャップがあるなぁと思ったりするのです。なぜ私は、こういった違和感を感じてしまったんだろうか?確かに、Fringe81は今は広告事業、特にアドテクに強みを持っているというのに。
こういった、未来の姿を思い描き、「どういった会社にしていきたいか?」を考えるために、組織論や働き方について書かれた書籍や、TEDのビデオを片っ端から見ていきました。こういった世界の叡智、つまり「いいもん」を見ていくと、どこか知的好奇心を刺激するひっかかるポイントが生まれ、それがだんだん自分の中で繋がって線になり、ベクトルになっていきます
※これは経営者それぞれで気になるポイントが違うと思いますので、Fringe81個別の話とご理解ください
私の心が動いたポイントを発見させてくれたものは、以下の素晴らしいコンテンツでした。

その他にも、WORKRULESスクラムメンバーの才能を開花させる技法HowGoogleWorksHARDTHINGS等の以前買った本を片っ端から読み返し、TEDのビジネスカテゴリの動画も数十本見まくって、経営者としての「ひっかかるポイント」である点を線で結ぶことで、自分がどこを目指したいのかというベクトルを構築していきました。私の思考構築パターンは昔からあんまり変わっていなくて、「良いもの」をひたすら見る、そこで気になった点をメモる、点を繋げて線にする。線をベクトルにする。こういって方向を構築していきます。
そうして考えを深めていく中で、私は、「事業主導ではなく、ビジョン/カルチャー主導のベンチャーはあり得るか」という事が気になりだしたんですね。
色々な素晴らしいコンテンツの中でも、サイモン・シネックさんの「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」がもっとも刺さりました。

サイモン・シネックさんは、通常の企業は、「何をやっているのか?」というスペックなどでわかりやすい「What」つまり何をやるのか、からスタートしていると言います。一方で、アップルやライト兄弟などの成功例を紐解き、行動を促すリーダーは、「Why」つまりなぜやるのか?という所からスタートしている、と言います。
“人は「何を」ではなく「なぜ」に動かされる”

また、これは心理学ではなく生物学の原理に(脳の断面に)基づいている、と。つまり、真ん中のWhyとHowは、大脳辺縁系であり感情、信頼、忠誠心を司るが、「言語能力は無い」もの。最も外側のWhatは、大脳新皮質であり、合理的な思考と言語とを司る、と。
私はサイモン・シネックさんの提唱するゴールデン・サークルの動画を見て、「そうか!」と思ったのです。なぜ、私は「アドテクの会社」と言われると違和感を感じるのか?なぜ、私は今までこのブログで書いてきたように、「ビジョンや文化」というふわっとした言語化しづらいものを大切にしているのか、その理由がわかった気がするのです。

サイモン・シネックさんのゴールデン・サークルを、私なりに当てはめたのが上の図です。
※この当てはめ方は私独自の解釈が混ざっているところがありますので、それぞれの会社で異なるとは思います。
Why:なぜやるのかには、「ビジョンと文化」が入ります。我々は、「新しい発見をもとに、地球の未来を創る集団」を実現したいがためにFringe81をやっていますし、それに最上の価値を置いています。これらは非常に言語化しにくいですね。特に文化は。
そのうえで、How:どうやってやるかには、そのビジョンや文化を体現するための「行動指針組織」が入ってきます。行動指針はFringe81に属する人がどうやって行動するべきかを表しています。あくまで、ビジョンや文化があり、そこから昇華された行動指針や組織がある、と思います。組織が先でも、行動指針が先でもありません。あくまでビジョンや文化が先に来るんです。
最後に、大脳新皮質としてのWhat:何をやるのか、です。これには、「事業コンセプト(使命感)」と、ここで初めて「事業」が入ってきます。我々の(今現在直近の、今後変わりうる)事業コンセプトは、『新興メディアと顧客のグロースを実現する、「No.1グロースプラットフォーム」』です。今現在直近の我々の有している能力である、技術力や事業開発能力を活かして、新興スマホメディアとお客様である広告主の成長を成し遂げようじゃないか!というのは、僕たちの「今」やりたい使命です。その外側に「事業そのもの」が現れるんですね。これが、今やっているアドテクの事業であったり、アドネットワークであったり、広告代理事業であったりします。
ということまでやっと思考がたどり着きました。本来であれば、これは経営者の私が、しっかり、さっさと示さなければならなかったものだと思います。
アドテク事業の強い会社、という「事業」は外側に位置しているので言語化しやすく、どうしてもそう見えがちです。一方で、我々は広告だけを生業としていくよりも、そもそも「インターネット」の会社であり、事業領域は限定したくありません。
そうです、僕たちの未来は「なぜやるのか、どうやるのか、というWhyHowは全く変えず、What部分はこれからどんどん新しい分野にチャレンジしたい」、というものだったのです。Googleが「alphabet」という名前に変わる、というニュースが先日ありました。Googleは単なる「G」であって、「alpha(投資期待値を大きく上回るイノベーティブなこと)-bet(に投資する)」ことがやりたいから、そう変えるんだ、というラリー・ペイジのレターが、そうだよそういう会社俺もやりたいんだよ、と思うのです。
ただしFringe81がalphabetと大きく異るところは、Howに「行動指針と組織」を入れているところだと思います。僕たちには強烈な組織力があります。それこそ、この2年の間に、いかに熱い組織を作れるか、というところに力を入れてきました。まだまだ、Googleと比べるのも恥ずかしいレベルの会社ではありますが、ここは絶対負けないぞ、と思うのです。
また、もう一つの点である私に重要な影響を与えた動画をご紹介します。それは、アイディアラボ創業者であるビル・グロスさんの動画です。

もしかするとアイディアラボと聞いても、??誰だっけ、という方もいるかもしれません。アイディアラボはネットビジネスインキュベータの元祖とも言える会社で、古くはOvertureやpicasaを生み出した会社です。アイディアラボみたいな会社を作りたい!って言って西川さんがネットエイジを創業され、そのビジョンに僕も共感して入ってしまった、そんな会社です。
彼がTEDの動画の中で言っています。数百社の会社を立ち上げていく中で、成功する会社に必要な要素とは何か、と。彼は5つのファクターをあげています。

  1. アイディア
  2. ビジネスモデル
  3. チーム
  4. 資金調達
  5. タイミング

私も、上の2つ、または4番目が結構大事なのではないか、と今までは思っていました。ところが彼の調査によると、

  1. タイミング 43%
  2. チーム 32%
  3. アイディア 28%
  4. ビジネスモデル 24%
  5. 資金調達 14%

という順番で成功のために必要な要因が導き出された、と言っているのです!ワーオ。アイディアが重要じゃない、ということではなく、順番が重要なんだと彼も言っています。
何かこの順番、似ていませんか?そうです、私はこれサイモン・シネックさんのゴールデン・サークルと似ているじゃないか!と思ったのです。(似てないと思われたらすいません、、どうでしょう?)1のタイミングはゴールデン・サークルには出てきませんが、それでもアイディアやビジネスモデルよりも、2番めに組織たるチームが出てくるのは、とてもおもしろくないですか?
ここで私の脳の中で「ピキーン!」(ガンダムでニュータイプ同士が出会った時に出てくるアレ)となったんですよね。そうか、外側の事業じゃないんだ、私はなぜやるのか、というのと、その組織を創る事がやりたいんだな、と。
ここからコーポレートストーリーやエクイティストーリを創っていきます。それは難しい事だと思います。今は広告の会社です。それは外から見た、まったくの真理です。でも、いずれ、文化や組織は変わらないけれども、事業はその中心から発露する様々な分野の事業をやっていたいです。そういう会社に見られたいです。私は、許されるのであれば、あと30年Fringe81をやっていたいのです。30年で、こういう会社を創っていきたいなと。
そういったやり方をしている会社が、一社くらいあっても、いいんじゃないかな、と思っています。
こういう会社で働いてみたいぞ、と思った方はぜひエントリーをお待ちしてます。


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