ピアボーナス「ユニポス」開発の背景と思わぬ効果について
先日、ピアボーナス「Unipos(ユニポス)」の開発背景と思わぬ効果について、ICCカンファレンスで発表してきました。私は元原稿と全然違う事をプレゼンで話してしまうのですが、ICCカンファレンスでプレゼンした元原稿をそのまま寝かせておくのはもったいないので公開します。プレゼン原稿ですので、多少話し言葉になって変になるところはご容赦ください。
———————————–
今日は、「感謝の言葉で人を繋ぐと、会社が強くなる」という、新しいアイデアをご披露しようと思います。
はじめに告白しておきますと、私、会社が成長して人数が増えれば増えるほど、会社の事がますますわからなくなっていました。
古くから、それが権限委譲というもの、会社が大きくなるというものなんだよ、と言われてきました。人間ひとりで把握できる、管理できる人数は限りがあるのだから、諦めて任せようよ、それがセオリーだよ、と。本当に、そうなんでしょうか?古くから言われてきたのでそれが正しい、と?それを本当か、証明してみたくなったのです。
まず1つ目のアイデアは、「社員同士の繋がりを強めると、会社が強くなるのではないか」というものです。
今日、企業活動はドンドンリアルタイムになって来ています。Slack、facebook、チャットワーク。こうして我々が京都にいる間も、企業活動は休むことなく続いています。
今週、1番活躍して会社のピンチを救ったエンジニアは誰ですか? 私にはわかりませんでした。
今週、1番会社の行動指針に従って行動した誇りある社員は誰ですか? 私にはわかりませんでした。
会社の人数が100人を超えたころから、私は、これがさっぱりわからなくなってきました。同じ部署のスタッフ同士は知っているのです。誰が素晴らしい事を成し遂げたかを。ところが、成長するにつれ、部署ができ、ヒエラルキーができると、他部署、上司部下のことは突然わからなくなります。こうなると、属人化がはじまっていき、会社の成長が止まります。私達経営者は、会社の情報がSlackで流れていってしまうだけで、まったくわからなくなっています。ドンドン、成長すればするほど、実は知らないことが増え、社員との繋がり・社員同士の繋がりがなくなってきてしまいました。
そこで、先程のアイデアを試すときがやってきました。「社員同士の繋がりを強めると、会社が強くなるのではないか」
どうやって社員同士を繋げたのかというと、Fringe81ではピアボーナス「Unipos(ユニポス)」を用いて、「感謝のメッセージ」と「インセンティブ」によって社員同士を繋げたのです。ユニポスの原型はFringe81の3年前にはじめた社内制度でした。
これはFringe81 内のピアボーナスのやり取りを一月分集計して、図示したものです。実は会社というものは、感謝のやり取りだけでも、これほどの繋がりであふれているのです。
感謝のメッセージだけならば、正直飽きますね。インセンティブだけだと、単なるお金、になってしまいますね。
人を繋ぐには、両方の要素が必要なのです。感謝のメッセージに加えて、インセンティブをセットにしたのが我々のアイデアでした。
今では平均して一回につき、240円のボーナスが送られています。そして、月2,000回の繋がりが発生し、それが全ての人に見えるようになるんですね。100名で2000回ですから、1人平均月20回はボーナスを送っていることになります。
そうなのです。ピアボーナスというものを取り入れただけで、会社で起こっている事、活躍している人が「全員に」リアルタイムでわかり、会社が強くなっていくのです。
私は今では、誰が素晴らしい実績を”人知れず”してくれたのか、把握しています。朝会社にいくと、「昨日はすごいね!」と声かけにいきます。
部署や立場を超えて裏側で支えている人が可視化されていきます。
そして、今まで認められづらかった人が認めてもらえるというよろこびから、自然とみな壁をこえて繋がっていき、結果として、チームに会社にコミットするようになっていくのです。
組織の構成員みんなが(社長や経営者も含めて)どんな活躍や素晴らしい事をやっていて、ということがわかるようになる事は、組織を強くします。
——————-
さらに、もうひとつのアイデアを試してみました。それは、「雇用形態を超えて、繋がりを増加させると、会社をより強くすることができるのではないか」というアイデアです。
リアルタイムで企業活動がなされているのと同時に、現代の企業活動では壁がどんどんできています。
それは雇用形態という壁です。2020年には米国でフリーランスの数が労働人口の半数をしめるようになるそうです。えらいことです。また、アウトソーシングやクラウドソーシング。契約形態だけではなく地理的な壁も存在するようになってきました。
そこで、我々はピアボーナスで雇用形態を超えて繋げてみたのです。
◯で囲っている、赤い線が集まっているのが「くるみ」(名前)です。彼女は大学生のアルバイトです。アルバイト、というとどうしても軽くみられがちですよね。でも「くるみ」は違いますね。このように、「くるみ」はアルバイトの雇用形態ですが、ネットワークとしてはハブになっているのです。
社員同士が繋がってさえいれば、このように壁はなくなっていきます。
赤い線が集まっている人は他にもたくさんいます。赤い点は正社員ではない雇用形態の方です。あきらかに、正社員以外でもハブになっている人が出てきていますね。
私は、以前はアルバイトの人が何やっているかなんて、知りませんでした。知らないことほど、恐ろしい事はないですよね。
つまり、企業で働く人が求めるのは、
正社員、派遣社員、契約社員、フリーランス、地理などといった壁ではなく、繋がりなのではないでしょうか?
規制緩和やテクノロジーの進化により、働く形態や地理的自由度が上がったことによって、ますます会社の構成員が多様化していく時代に我々は突入しています。ところが、壁が増えていませんか?
派遣社員の方や契約社員の方でも、正社員以上の成果を上げる方もいます。あくまで雇用形態の違いであり、その人の能力を表すものではありません。ましてや、壁ではありません。
リアルタイムで複雑化する世界、これが今後我々を待ち受ける世界です。
あきらかにピアボーナスにより、社員同士が感謝の気持ちで接続された会社は、強くなります。これはこのネットワーク図が、証明しています。
人と人を繋げることが、こんなにも会社の競争力を上げるんだ、これは新しい発見でした。
感謝の言葉とインセンティブはあくまで、「繋ぐための手段」であります。目的は人を繋げるということです。繋いだ結果、今まで全くわからなかったものがわかり、競争力が上がるのです。
こんなの、Fringe81だけが盛り上がっているのではないか?と思われましたか?
これは、ある会社のネットワーク図です。Fringe81と社員数はあまり変わらないのですが、はるかに繋がりが強くなっています。この会社では、月に5600の繋がりが新たに生まれているのです。
サービス開発した我々よりも、盛り上がっています。すごく、悔しいですが。。。笑
私は、何百万、何千万の働く人を、雇用形態は関係無く繋いで、新しい社会、新しい会社の有り様を創ってみたいです。
「感謝の言葉で人を繋ぐと、会社が強くなる」。ピアボーナス「ユニポス」にご興味ある経営者の方、人事責任者の方のお問い合わせをお待ちしてます!サービスページはこちらです。