会社と個人の関係はこれから変わるのか?と変えるためのアイデア
今日は、「会社」と「個人」の関係について経営ポエムを書きたいと思います。
現在、急速に企業と個人の関係が変わってきていると思います。
■平均年齢30歳の会社では半分が平成生まれ。
こう考えたのは、Fringe81社内の社員のうち、半数以上がもはや平成生まれ、という事実があったからです。ちょっとですねびびりました。私は今41歳ですが、ソフトバンク→起業→コンサル→上場企業役員→オーナー社長→上場企業社長という、41歳にしては珍しいキャリアを歩んできました。年齢的にバブル経済は経験していませんが、それでも、社会人一年目は席でタバコがすえた時代でした。今だとありえませんね。さらに、平成生まれだと、もはやそういった古臭い慣習など、「あったんですね信じられん」という感覚でしょう。色々な「当たり前」が変わってきています。
現在、働き方ひとつとっても、ダイナミックな変化が起きています。副業容認もだんだんと進んでいます。リモートワークも一般的になってきました。その昔正社員が大部分であった「会社」は、非正規雇用者の方のシェアが上がってきています。特にメーカーなどでは、非正規雇用者の割合は4割以上に達することもあると聞きます。また、クラウドソーシングが進むにつれ、地方にいるデメリットも薄れてきています。加えて、特に稀有な才能を持つ方のフリーランス・会社に所属せず、プロジェクト単位での働き方も増えています。「働く」ということの多様性が、テクノロジーの進化やいわゆる「働き方改革」の規制撤廃などによって、増してきましたよね。
とくに最近では、クラウドファンディングのように、プロジェクト単位で、「ストーリーやビジョン」に共感する事をきっかけとして、お金や人的リソースを調達し、プロジェクトを実行するということだって可能となっています。もはやこれは会社という形態が無くとも、お金やリソースを調達することができるということです。
つまり、昨今のダイナミックな変化により、「会社」という単位にこだわらずとも、会社をつくらなくても、個人が「働く」ということは可能になってきましたし「会社」そのもののあり方、価値も変わってきました。
■「会社」そのもののあり方、価値も変わってきた。
本来、株式「会社」というのは、非常に優れた仕組みです。優先株の仕組みが整備されたことにより、未上場ベンチャーのベンチャーキャピタルからの資金調達や、それに続く資本市場からの資金調達など、先人たちが作り上げてきた、とても優れた仕組みが整備され、企業が成長し、人が雇用され~というライフサイクルはうまくまわってきました。ところが、、ICOという資金調達手段も登場したことで、資本市場以外からも、資金調達が可能になりました。株式という優位性もまた、薄くなってきているのかもしれません。
こういった会社というものの存在意義が変わってくるなか、個人が「会社」というものに所属している意味は、年々と薄れてきているようにも見えます。
旧来、特に正社員のメリットはある、とされてきました。社会保険の会社負担や、労働法が整備されているなど、会社に所属する人はある程度守られている、ということはあるのかもしれませんが、多様な働き方が進化する現代では、「会社」というものが個人が「働く」際に絶対に所属しなければならないものではなくなりましたし、そもそも、上述のとおり、会社そのもののあり方が変わってきています。
24時間戦えますか的、愛社精神の崩壊(ちなみに平成生まれには決してリゲインのCMは伝わりませんし、41歳の私も小さいころテレビで見かけただけですが)、会社に入ったら定年までいられます、といった旧来の終身雇用制度の制度疲労、といった議論はだいぶ議論しつくされたと思いますし、特に平成生まれには、もはやそういった価値観は通用しなくなっています。
■会社はまだ存在意義はあるのではないか
では、「会社」というものの求心力は全く無くなってしまうのでしょうか? 全てフリーランス、もしくはプロジェクト的にいっときに集まる社会になっていくのでしょうか?
私は、全てはそうならないのではないか?と予想します。集団でお互いにひとつの目標に向かっていくパワーは、素晴らしいものがあります。私は会社経営者ですので、まだ会社というものが社会にとって、個人にとって、素敵なものである、会社に属しているからこそ生産性が高くなったり、人が育ったり、素晴らしいイノベーションが起こったりするのではないか、という理想やロマンを捨てたくないなぁと思っています。
誤解していただきたくないのは、「やはり田中は雇用者側だ!だから会社に縛りたいのだ」とか、「フリーランス反対派なのか!」といった、なんだか二項対立で考えていただきたくないのです。副業もしたら良いと思いますし、現にフリーランスの方もめっちゃ大事なパートナーです。
話を戻します。会社と個人の関係というのは、ではどう変わるのか。それは、
「雇ってあげてる→だから言うこと聞いて」というある種従属的な関係から、より対等でフェアな関係になっていくのではないかな、と思っています。
最近、ビジョンやミッション、バリュー(行動指針)を前面に出している会社が多いと思いませんか。
私はこれは当然の流れだと思います。
クラウドファンディングととっても似てますよね。クラウドファンディングのページでは、「なぜこういうプロジェクトをやりたいのか」「どういったリターンがあるのか」を明確にしていると思います。これは何かやりたい人からの「オファー」です。会社のビジョン、ミッションとは、クラウドファンディングの「なぜこういうプロジェクトをやりたいのか」と同等のものだと思います。クラウドファンディングの場合、短期での成果を求める場合が比較的多いですね。会社の場合ですと、長期に渡って、集団で成果を出していこうね、といったビジョン・ミッションが多いと思います。そういった違いはあるにせよ、社員に対して、「会社からの提供価値」(オファー)を出せない会社は、だんだんとつらくなってくると思います。これからはそういった会社が、個人を集めるようになるでしょう。ビジョン、ミッションとは決して流行りでつくるものでも、必要に迫られてつくるものでもなく、求職者や従業員に対しての会社からのオファーであるので、今後は当然必要なものだと思うのですね。
■そろそろ、社名そのものを愛する「愛社」精神というのは無くなりつつある
無条件に●●社という会社が好きです(これが社名を愛する愛社精神です)ではなく、●●社のビジョン・ミッション/雰囲気/事業/組織/得られる経験、が好きだから、会社にいてあげよう、となるのではないでしょうか。
ビジョン・ミッション/雰囲気/事業/組織/得られる経験から、何をオファーできるのか。何が「おいしい」と思わせることができるのか。報酬というオファーも、良いと思います。でも報酬だけだったら、ちょっとさびしい感じもしますね。あと当たり前でもありますね。
世界初めての求人広告は、1900年、南極探検隊の募集だったそうです。その募集内容には、「危険な旅。わずかな報酬、極寒、暗闇の日々、絶え間ない危険、安全な帰還の保証無し。ただし成功の際には名誉と賞賛を得る。」と書かれていました。この求人広告は大成功だったようです。ビジョン・ミッション、オファー。全てありますよね。報酬も僅かでした。
ですから、オファーに合致していることが、会社に属す理由なのではないでしょうか。「ビジョンはまだよくわからないけど、この会社の雰囲気が好きだからこの会社にいる」というのは、十分に会社に属する理由になると思います。
そして、そういったオファーへの共感度の高さが、会社という集団が素晴らしい集団になれるかなれないか、競争力があるかないか、にも繋がると思います。
■今こそ、会社は圧倒的な「会社からの提供価値」(オファー)を従業員に提供しないといけない。そのアイデア。
会社のあり方が変わってきています。こういう時、経営者はさぼっていてはいけない。私悩みました。
そこでひとつ経営アイデアがあります。これをFringe81では、今実践しつつあります。こうすると、会社からの新しい魅力的なオファーになるのではないか、と考えました。
それは、
★事業部長(または子会社社長)が尋常ではないくらい「会社」のリソースを思い切り使えるようにしたらどうなるか、というアイデアです。
この名刺を見てください。この名刺は、先日作ったFringe81の子会社の名刺です。
私の肩書は、「Uniposセールス担当 兼 Fringe81株式会社代表取締役」です。これがこのアイデアを端的にあらわしています。
私は、Unipos株式会社にとっては、私は取締役でもなんでもありません。ですが、セールス担当なので、事業トップのご命令があれば、めっちゃがんばって営業します。つまり、「会社のリソースの中で営業に強い私のリソースを、各事業トップに使役する権限を渡す」というアイデアなのです。
このアイデアでは、あくまでトップは事業のトップ(事業部長や子会社社長)なので、私は命令される立場です。
もはや子会社社長は、カレンダー空いてたら勝手に営業アポを入れちゃえば良いんです。
そしてよく、営業から突っ込まれてます。僕が営業マンとして言ったアポでは、わたしの営業トークで盛りすぎたりすると、「あれは言い過ぎやり過ぎなんで注意してください!」「嘘はやめてください」とか、営業トーク直されたりしてます。
ようは、えらくなったから現場やらない、とか、もう古いのかなと思います。私は営業と資金調達にはそこそこ才能あるので、会社のリソースの適材配分を極端にやったまでです。
その事業部に属している個人は、私というリソースを使えます。こういうのは、普通では経験できない会社からの機会であり、「独自の会社からの提供価値」です。会社も、こういったやり方を通じて、個人に対して面白い機会や「会社からの提供価値」を提供することが今後、求められると思います。会社、というと社長や部長はえらくて、、、というような旧来の価値観から解き放たれた時、
雇う、雇われている、という、ある種従属的な関係から、お互いの提供価値を柔軟に提供しあって、最適配分し、結果フェアになる。
これが新しい個人と会社のあり方ではないでしょうか。