アドテク革命前夜
田中です。
今、日本のインターネット広告業界は、革命前夜だと思うのです。
革命が成功するのかどうかは別として。
DSPやアドエクスチェンジ、第三者配信というものに僕が注目しているのは、インターネット広告市場が初めて配信から効果測定まで「通信で繋がる」からです。さらに、最近ではサーチ広告市場とも通信で接続する、というところまで議論が進んでいます。
「通信で繋がる」ことのインパクトは、「データベースが有機的に、リアルタイムに相互作用するようになり、生産性がすごく上がる」というではないかな。そもそもインターネット革命というものは、バラバラに、もしくは人間の脳にあって寿命が来たら死滅していた知識が、集合知(データベース)として有効活用できるようになり、生産性が大幅に上がったことにあると思っている。
インターネット広告市場は、まだ知識が分散している。通信もわずかなパスしか無い。サーチはサーチ、ディスプレイはディスプレイ、アドネットワークはアドネットワーク。それが通信によって全て繋がり、生産性が向上することは、大変インパクトのあること、意義のあることだと思う。だから面白いんだ。
僕は起業家だから、こういう革命前夜に自分が何らかの形でからめるのはとてもうれしい。昔僕がソフトバンクの新卒だったころ、革命前夜にいた孫さんはそれはカッコよかったんだぜ。とてもあのレベルには追いつけないけど、でも姿勢だけは忘れない。
今はぼんやりとした夜だけど、だんだん朝日が昇ってきている。その朝日のちょっとした色でいいからタッチしたいな。
最近の風潮として2つ、気になることがある。
・一つは、「アドテクはバブルだ」という論調。
米国でも散々言われているが、僕から言わせればバブルなんてまだ早いよ、って思う。儲かってないもん。Luma Partnersのアドテクマップを見て、「あ~バブルですね~」とか、もういいよって思う。
やっと米国でディスプレイ広告の成長率がリスティングを抜いた、というレベルでしょ。集まっているお金に比べて、まだまだ革命のインパクトが小さいよ。注目されているから、バブルなのか。いいえ。投資が集まっているから、バブルなのか。うーん。特に日本では投資も集まっていないし、みんな恐る恐る手をつけている段階だ。こっから本物の市場にしなければいけない。
膨大な成功や失敗があり、起業家のわけのわからない強烈な情熱があるから、インターネット産業は発展してきたのではないかな?バブルだ、というとなんだかね、全てを否定されてしまう感じがするんですよ。
ちょうど昨日も、DSPはブームかバブルか?みたいな記事を読んでいて、なんだかなぁって思った。通信で繋がる、ってことは止められない変革なのではないか?なぜか?それでリスク取って、自分で出資して、死に物狂いでやっちゃう人たちはたくさんいるから。俺はそういうチャレンジャーはほんとリスペクトの対象と思ってる。なんでDSPみたいなすげー面白くて革命起こしそうなものを、バブルだって一言で片付けようとするんだーーーーみたいな。
それぞれの企業が研究開発して、チャレンジして、失敗して、それでも前に進んでいる確かな方向性があるから、だからこの市場は面白い。バブルって一言で片付けられるほどそんな甘えてビジネスやってないよ、と。みんな儲かって、過剰投資しまくって、崩壊するのがバブルだと思うんだけど。
・もう一つはポジショントークのはなし。
そりゃ企業活動ですからね、競合と競争して、うまく人知れず抜け駆けしたい、批判したい、それは誰にでもあるよね。だから、ある程度ポジショントークにはなるのは致し方ないことなんだと思う。それは俺だって持ってる。僕は自分でこの会社に出資してリスクとっているから。必死なんだよ。ただね、さっきのバブルだっていうのと同じような話だよ。
それより重要なことは、相互にリスペクトをして、この革命をホンモノの物にできるかどうか、市場を変革できるかどうか。大きくできるかどうかなんじゃないかな?ガチンコで勝負しよう。でも、相互理解しよう、って思います。だから僕はこのブログやいろんな記事や情報をドンドン積極的に出して、この革命をアジテートしていこうと思っている。誰に何と言われようとも。