僕とクオークエクスプレス
ちょっと広告とは関係ない話題ですが。
DTP用ソフトウェアのクオークエクスプレスが創業30年を期に買収された、というtechcrunchの記事を見てブログを書きます。
以前、「僕とWIRED」という記事でも少し書いたのですが、私田中は大学生のころ、1997年ですね。平家物語の研究をしながらPC・デザイン系の専門学校にダブルスクールしていました。
そこで出会ったのがクオークエクスプレス。当然ながらPCはMac。Performa4400だったかなぁ。OSはやっと安定化したMacOSの8だったと思う。
DTPは印刷業界に革命を起こした。職人が活字組みをしていた世界から、PC上で全ての印刷組をやってしまう。初めて触れたときは、「これは革命なんだなぁ」と思った。
当時ちょうどDTPが本格普及段階で、その専門学校にはOLさん(コレ自体の単語が古い気がするが)がいっぱい来ていた。なぜかというと、転職のため。DTPオペレータが大量に必要になったため、各企業は採用を強化していた。大学生の僕はお姉さん達にかこまれて、ドキドキしながら授業うけたもんです。
DTPが革命的なのは、熟練の職人からいわゆる普通のOLさんでも「ちゃんと勉強すれば」数ヶ月でひと通りのことができるようになってしまったところだ。まさにイノベーション。
で、ここからはもっと面白いストーリーがある。wikipediaの記事から引用させていただく。
2009年現在、米国と日本では、Mac OS Xへの移行と共に、Adobe InDesignへの乗り換えが進んでいる。「先進的な機能をいち早く提供したQuarkXPressが、Aldus社 との合併で動きが鈍かったAdobe社のPageMakerを一気に抜き去った」後に、「OpenTypeにいち早く対応するなど、先進的な機能を提供し たInDesignが、Mac OS Xへの対応の遅れたQuarkXPressのシェアを奪った」という逆転現象が起きたことは皮肉である。
そう、ほぼ完全なデファクトスタンダードであったクオーク。97年当時は、「Pagemakerなんて使えない」という先生がいっぱいいたもんだ。
でも当時も、イラストと写真加工はAdobeのIllustratorとPhotoshopで、DTPで組む時だけクオーク、というやり方だった。
アドビの逆転ストーリーは相当面白い。MBAのケースになりそうだ。なってるのかな?
もちろん競合の対応の遅れにじょうじて、ということはあるにせよ、専門特化ソフトウェアを打ち倒すために、DTPに必要なバリューチェーン(この場合だと素材加工)同士の結びつきを強めて、水平統合した。これがInDesignなんだろう。
今やDTPといえばアドビ、というシェアになったみたいだ。(しばらくDTPから離れていたのでこのようなシェアになっていてびっくり)
最近のアドビ社の広告系のベンチャーの買収を見ていると、2009年にサイト解析とリスティング入札ツール等のオムニチュア買収、オーディエンスデータ管理のDemdexの買収、となんだろう、デジャブ感がします。次はDSP買うんじゃないかな。
ソフトウェア産業の戦い方はほんと面白いですよね。マイクロソフトはOS無料バンドルで他のベンチャーをしりぞけてきたし、オラクルとピープルソフトの戦い、とか。